耳鳴りには“耳から”と“脳から”の2種類がある?見分け方と対処法
- Mimitakara
- 9月3日
- 読了時間: 3分
「キーンとした音がずっと鳴っている」「周囲には聞こえていないはずの音が、自分の耳にははっきり聞こえる」そんな耳鳴りに悩んでいる方は少なくありません。
耳鳴りはとても身近な症状でありながら、その原因や仕組みは意外と知られていません。そして臨床の現場では、「耳(末梢)から来る耳鳴り」と「脳(中枢)から起こる耳鳴り」の大きく2つに分けて考えられています。
本記事では、耳鳴りのタイプごとの違いや見分け方、そしてそれぞれの治療・対策について、できるだけ分かりやすくご紹介します。自分の耳鳴りがどちらにあてはまるのか、ヒントになるかもしれません。

耳鳴りには2つの主なタイプがある
① 末梢性耳鳴(耳に原因があるタイプ)
② 中枢性耳鳴(脳・神経系に原因があるタイプ)
① 末梢性耳鳴(Peripheral tinnitus)
🔍 原因:
内耳(蝸牛)や聴神経などの器質的障害
難聴(加齢性難聴、突発性難聴、騒音性難聴など)
外耳・中耳の異常(耳垢栓塞、中耳炎など)
🧠 発生の仕組み:
内耳にある有毛細胞がダメージを受けると、実際には音がないのに信号が誤って神経に伝えられることで耳鳴りが発生します。この段階では、音が感覚器(耳)から発生していると理解されます。
🧪 特徴:
難聴を伴っていることが多い(特に高音域)
音の種類は「キーン」「ピー」「ザー」など単調で継続的
片耳に起こることが多い
聴力検査や耳の画像診断で異常が見つかることもある
🩺 対策・治療:
原因となる耳の病気の治療(耳垢除去、炎症治療、薬物療法)
難聴への対応(補聴器など)
血流改善薬やビタミン剤(ATP製剤、メチコバールなど)が処方されることもある
② 中枢性耳鳴(Central tinnitus)
🔍 原因:
聴神経以降の中枢神経系(脳幹・大脳皮質)での神経活動異常
難聴がきっかけとなることもあるが、“音のない状態”に脳が過敏になりすぎて発生するケースが多い
精神的ストレス・自律神経の乱れ・うつ病・不眠なども関与
🧠 発生の仕組み:
耳からの入力が減少(難聴など)すると、脳が「足りない音を補おう」と過剰に活動することで異常な音信号を作り出し、耳鳴りとして知覚される。この段階では、音の錯覚が“脳の中”で発生しているとされます。
🧪 特徴:
両耳あるいは頭の中で鳴っているように感じる
ストレス・疲労・不眠と関連して強くなる
MRIなどの画像検査では異常が見つからないことが多い
難聴を伴わないケースもある(特に慢性耳鳴り)
🩺 対策・治療:
耳鳴りの音に慣れる治療(TRT:耳鳴り順応療法)
リラクゼーション療法、認知行動療法(CBT)
睡眠改善、生活リズムの是正
精神的なストレスへの対処(抗不安薬や抗うつ薬が処方されることも)
まとめ
耳鳴りはひとつの症状でも、原因や発生場所によって治療方法が大きく異なります。耳に原因があるのか、それとも脳が過敏になっているのかを見極めることで、適切な対応が可能になります。
急に耳鳴りが始まり、難聴・めまい・耳の詰まりを伴う場合 → 耳鼻科での精密検査を受けましょう(末梢性の可能性)
長引く耳鳴りでストレスや不眠がある → 専門医の紹介で心療内科的なアプローチも視野に入ります(中枢性の可能性)