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職業が耳を壊す?トラック運転手に忍び寄る“静かなリスク”

  • Mimitakara
  • 11 時間前
  • 読了時間: 3分

 日本の物流を支えるトラックドライバーたち。その多くが、1日10時間以上を運転席で過ごし、休憩もままならない過酷な労働環境に身を置いています。そんな彼らを蝕む“静かなリスク”が、「耳の健康」にあります。運転中のエンジン音や道路騒音、クラクションなどによる騒音が、聴力に深刻なダメージを与えているのです。

運転手

データで見る:運転手の耳に何が起きているのか

 実際、インドで行われた調査では、運転歴10年以上のトラック運転手の60%以上に聴力低下が確認されました。日本でも同様のリスクがあると考えられます。以下は日常的にドライバーがさらされる騒音の一例です:

音の種類

平均音圧レベル

リスク

エンジン音(アイドリング)

70~85dB

長時間で難聴リスク上昇

クラクション

100〜110dB

一瞬でも内耳細胞にダメージ

高速道路の走行音

80〜90dB

繰り返しで有毛細胞が損傷

ディーゼル車の振動音

70dB以上

骨伝導経由でも影響の可能性

 騒音は内耳の有毛細胞を徐々に損傷し、感音性難聴を引き起こします。一度傷ついた細胞は再生せず、聴力は戻りません。特に運転席が片側にあることで、左右どちらかの耳だけが劣化する“片耳難聴”のリスクもあります。

 また、耳鳴り(Tinnitus)を訴えるドライバーも多く、それが慢性化すれば、集中力の低下や睡眠障害、メンタル不調にもつながります。これらの症状はしばしば「年齢のせい」と誤解され、放置されやすいのも問題です。


対策提案:企業・個人でできる予防とケア

防音対策車両の導入

  • 遮音性の高いキャビン設計や、吸音材の追加施工によって車内騒音を大幅に軽減できます。


運転中でも使える耳の保護具

  • 騒音カット耳栓や、騒音フィルター付きBluetoothイヤホンなどを活用。周囲音を完全に遮らず、聴覚を保護できるものが適しています。


定期的な聴力チェック

  • 年1回の聴力検査を業務に組み込むべきです。また、簡易アプリなどを使って休憩中にセルフチェックも可能です。


耳の休息時間を確保

  • 長距離運転後には静かな場所で耳を休ませる時間をとる。睡眠時も遮音カーテンや耳栓などで静寂を保ち、聴覚の回復を促進します。


教育・啓発活動

  • 企業側が耳の健康に関する研修や情報共有を行うことで、ドライバーの意識向上を図ることが可能です。


補聴器や集音器の早期活用

  • 聴力が低下した際には、補聴器の早期使用が脳の言語理解力の維持につながります。誤解や偏見を取り除くことも大切です。


まとめ

 トラック運転手の聴力低下は、単なる加齢ではなく、職業環境が原因であることが多いと認識すべきです。エンジンや道路騒音に日常的にさらされるからこそ、耳の健康管理は欠かせません。企業と個人が連携して、「聴こえを守る働き方」を今こそ見直す必要があります。


 
 
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